「なんで順番通りに仕上がってこないんだ!」
そう思うのは当然です。
スマホであれ、車であれ、機械製品、工業製品なら製作順にちゃんと仕上がってきます。
ただ、手刺し防具はそうはいきません。
例えば胴台の漆塗りひとつとっても、
「冬場は漆が乾かないので長めに時間がかかる。」
「漆を塗る色の調合の都合で、何枚かまとめて塗りたい。」
「細かい仕事は気分が一番時間帯に進めてたい。」
「今、仕事が混んでいる。」
いろんな思惑で仕事の仕上がりが前後することがあります。
手作りなので仕上がり時期が前後して普通です。
ひとつ大切な事を言います。
職人仕事は急がせるとろくなことがありません。
職人だって人間です。
職人を急かすことはやっつけ仕事になって、仕上がりが雑になるからです。
私は職人に、あなたの手刺し防具を
やっつけ仕事で、布団を刺して欲しくないです。
やっつけ仕事で、竹刀操作を左右する甲手頭を作って欲しくないです。
やっつけ仕事で、胴台に漆を塗ってほしくないです。
大工さんに家を建ててもらうとき、
「喜んでください!突貫工事で徹夜したら1週間で家が建ちました」
って言われるようなもんです。
そんな家に愛着が湧くはずがありません。
剣道具だって同じ。